(迷題)最大の自然数は1である

2008-08-23経由,小島さんのエントリ.「最大の自然数は1」の証明.背理法などの論理の危うい一面を端的に示した面白い例だと思う.要は数学というか論理というかの基本中の基本

  • 偽の命題からは全てが導かれる

が重要なわけです.これ経済とか政治とかでやられたらたまらないですけど・・・実際のところ,結構やられちゃってるんだろうなとか思います.

背理法にならんで,ある意味怪しいのは帰納法です.高校生を相手にしてたときに,帰納法の与太話として使ってたのは,元ネタは忘れたけども,

  • すべての人間はハゲである

という「命題」.「証明」は大雑把には

  • 髪の毛が一本もない人はハゲである
  • ハゲの人に一本毛が生えてもハゲである
  • よって髪の毛が何本あってもハゲである

というもの.それらしく,教科書風に「髪の毛がn-1本の人をハゲとする」とか,整理すればそれらしい形にまとめることは容易です.

もちろん突っ込みところ満載で数学的には滅茶苦茶だけども,それなりに「論理(の使い方)」の危うさというか「前提の重要性」とかが浮かび上がると思います.

小島さんのエントリにある「周囲の長さ一が定で面積最大の図形を求める」問題,いわゆる「等周問題」も前提の重要さを表すものですが,こっちの方が不完全さを見つけるのは面倒ですね.いわゆる「変分法」の基礎として大事な例ですが,これはまじめにやるとかなりハイブローな問題になります.要は「面積最大の図形」が存在するかですが,突き詰めれば「そもそも図形って何だ?」が絡みますし,「長さ・面積って何だ?」ともなります.

つまり,「図形」全体の集合を考えて,その集合の要素で「周囲の長さが一定」という条件で定まる集合を捉えて,「図形に面積を対応させる」写像を考えることになり,この面積写像が「きちんと定義できて」,「連続」で,「周囲の長さが一定の図形の集合がコンパクト」であればいい・・・しんどいです.