独習LaTeX2ε(吉永徹美著:翔泳社)

ついに出ました.独習シリーズにTeXものが登場するというのもある意味驚きですが,著者が吉永氏だというのも本格的.今までにないような入門書です.何が今までにないって

  • インストールの詳細な手順は語らない
  • エディタの使い方も語らない

ブラボーです(皮肉じゃないですよ).この二つを語ると,TeXよりもめんどくさい側面があって下手すると「パソコンの使い方」になってしまうんですよね.とくに「エディタって何?」「コマンドプロンプトって何?」な人が多い昨今では.

そのほか,既刊書では「TeXの売り」としてた「文書の永続性」についても,ばっさりと詳細を明言してます,ブラボー.

内容は下手な「Tips本」よりも濃いです.きちんとNFSS2の話もでてますし,JISメトリックの話もあるし,第二部のマクロ編ではかなり念入りな話,とくに初心者がはまりまくる「fragileなマクロ・Robustなマクロ」もあれば,「再帰によるループの実装例」「トークンリスト」なんかまである豪華(?)さ.実際,凝ったマクロを作ろうとしたら,このあたりを理解してるか否かでかなり変わってきます.

ケーススタディとして\@startsectionがでてるのもTeX業界人らしいこだわりですね.ここをカスタマイズできるということは好きな見出しを作れることですから.

お約束ですが,やっぱり「パソコンその物についても初心者」にはきついかも.けどこれはTeXに限らないなあ.「パソコンそのものはOK,プログラムも簡単なものならOKだよ」というような学生さんのような「TeX初心者」向けかな.初心者じゃなくても,初心者向けの部分に書かれた内容から得られるものがたくさんあります.「独習」っていうらいだから「自ら学ぶ」人じゃないと厳しい内容でもあります,

けど・・・正確を期するためだろうけど,( )が多くて思考が分散しがちになるというのはあります.ばっさり思い切って細かいことは「暗黙の了解」にするか,( )ではなく地の文に埋め込んでもよかったんじゃないかなという気もします.