小島寛之さん

textfile.org経由で,小島さんの話題.小島寛之さんというと私には,SEGの中学数学のリーダーというイメージです.中学校のユークリッド幾何と「原論的ユークリッド幾何」の橋渡しになるような問題提起的な問題や「ロバの橋」を真正面から扱ったテキストは面白かったのでした.思わず,原論の訳書とかヒルベルト幾何学の基礎を読み直してしまいました.ついでにクラインのエルランゲンプログラムも見たりしたものです(「幾何学の基礎」と「エルランゲンプログラム」の訳は合本になってて,一冊でかなり濃いものになっています).

最近は「経済学者」として本も出してるし,宇沢弘文先生の流れを組む人だという文脈で登場することも見かけます(SEGのテキストではU先生として登場してた人が宇沢先生でしょう).数回でもお会いしたことがある人を,ふとしたときにおみかけするとなんとなく感慨深げです.

ということで,小島さんというと私には「ユークリッド幾何」の印象があるわけですが,どうやら年明けに,東大出版会から「エウクレイデス全集」の刊行が始まります.かなり大部なシリーズのようですが,どうも今まで訳がなかった部分も含めて「全訳」されそうな雰囲気です.啓蒙書や入門書の類の本では当然ないですが,一巻は原論のVIまでとのことで,中学校くらいの範囲は収録されてるのでしょうね.

東大出版会ゲーデルユークリッドと来てますから,ガウスオイラーあたりにも突撃してもらいたいものです(ニュートンライプニッツはすでに数学史叢書シリーズで出ています).もっとも,狙ってもガウスオイラーだとあまりに範囲が広すぎて,執筆できる人を探すのが大変なような気がしますが,そこは何とか出版社のウデということで.

ついでに「幾何学の基礎」とか「エルランゲンプログラム」も新訳と解説がでないものでしょうか(^^;Springerあたりだと「数学クラシックス」のシリーズやGTMの訳書で渋いところをいろいろ出してますね.マンフォードとかミルナーとかハーツホーンとかボット・チュとか。。。学生時代に原書で読まざるを得なかった本が続々.あーハーツホーンの代数幾何かっちゃおうかな.